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朝日 義郎; 奥村 啓介; 小瀬 裕男*
Nuclear Science and Engineering, 139(1), p.78 - 95, 2001/09
被引用回数:1 パーセンタイル:11.99(Nuclear Science & Technology)THYDEコードの3次元炉動特性オプションとして直接陰解法(IDI法)を開発した。中性子拡散方程式に完全陰解法を適用した後に、保存型を保持するように空間差分化をする。得られた式を解く時に、関係する全変数の連続性が保障されているならば、反復法による解は複雑な加速法を用いなくとも早く収束する。中性子数の非保存に対する一般的な式が与えられている。この式によれば、IDI法における非保存は収束条件と直接に関係している。THYDEコードの熱水モデルについても簡単に述べてある。中性子拡散と熱水力とに対する反復解法が必要とする全変数の連続性は自動的時間幅制御を可能とする。過渡問題を正しく定義する観点のみならずコード検証の観点からも過渡解析コードは零過渡解析を行うことができなければならない。サンプル問題を解いて、IDI法が適切であることが確認されている。
木下 秀孝; 神永 雅紀; 日野 竜太郎
JAERI-Tech 2001-052, 41 Pages, 2001/08
核破砕水銀ターゲットシステムの設計では安全保護系の概念構築が急務である。水銀ループのFMEAでは、強制流動喪失と冷却材流出がターゲットの熱除去性能を著しく損なうことを示している。そこで、RELAP5を用いて強制流動喪失と冷却材流出時の過渡解析を行った。強制流動喪失時には、流動している水銀の持つ慣性力が大きく過大な温度上昇は起きないことがわかった。冷却材流出時には、圧力変動等が起こるが、極端な温度上昇等、重大事故に至るような挙動は見られなかった。今回の解析をもとにした安全保護系の設計を行うとともに、水銀システムの合理化を図っていく予定である。
小田野 直光; 楠 剛; 頼経 勉; 福原 彬文*; 斉藤 和男*; 高橋 照雄*; 石田 紀久
Proceedings of International Workshop on Utilization of Nuclear Power in Oceans (N'ocean 2000), p.164 - 169, 2000/02
原研では、海洋調査に関するニーズ調査に基づき、中層海域を調査対象とした海中観測船用超小型炉SCRの設計研究を進めている。海中観測船は動力源として電気出力500kWを必要とし、この電力を熱出力1250kWのSCR2基でまかなう。SCRの基本概念は、原研で設計研究を進めてきた深海調査船用原子炉DRXに基づいている。核設計に必要な炉物理パラメータの評価はSRACコードシステムにより行い、設計条件を満足する炉心核設計を行った。また、安全設備の基本的な機能確認のために、RELAP5mod3を用い、EDRS配管の破断時の過渡応答挙動解析を行い、安全設備成立性の検討を行った。
玉越 武*; 渡邉 憲夫; 平野 雅司
JAERI-Data/Code 98-037, 193 Pages, 1998/11
商用BWRで実際に起きた事故・故障事例の解析や複数の炉に共通する安全問題の解析等に適用することを目的として、電気出力110万kW級BWRを解析対象とした熱水力解析コードTRAC-BF1用入力データを作成した。本報告書は、作成した入力データの内容を記述するとともに、その適用性と問題点を検討するために実施した計算の結果についてとりまとめたものである。入力データの作成に際しては、国内の複数のBWRの設置許可申請書、米国におけるBWRの最終安全解析書及びその他の公開文献を参照した。したがって、解析対象炉は特定のBWRではなく、いわば仮想的なものである。
竹内 道雄; 松本 光雄; 森川 豊
PNC TN1410 97-039, 99 Pages, 1997/10
原子力発電所の安全性向上は重要な命題である。そのため、安全評価についても、原子力発電所の建設および試運転を開始する前はもちろんのこと、その供用期間を通じて運転経験および安全上重要な新しい知見に照らして、包括的、かつ体系的に実施することが肝要である。ここでは、最新の技術的知見に照らして、「ふげん」の安全解析を実施した結果について報告する。その結果、「ふげん」は、固有の安全性と安全確保のために設計した設備により安全性が確保されていることが再確認できた。
川崎 信史; 笠原 直人
PNC TN9410 96-294, 47 Pages, 1996/07
高速炉の主要構造物としては原子炉容器,配管,熱交換器,ノズル等などが挙げられる。高温構造設計基準では,これらの構造物の構造健全性維持を目的として,1次応力,ひずみ,クリープ疲労損傷の制限を設けている。特に高速炉のような高温で繰返し荷重(熱過渡)を受ける低圧の構造物においては,クリープ疲労損傷が構造物の支配的な破損形態となり,設計成立範囲を限定する要因となっている。本研究では,一般化弾性追従モデルを採用したクリープ疲労損傷評価高度化案を使用し,円筒構造物の強度評価を行った。さらに,熱過渡強度試験より得られた円筒構造物試験データと強度評価より得られた損傷値の比較を行い,もんじゅの方法と高度化案の評価精度について検討した。その結果,以下の知見を得た。1.累積疲労損傷係数Dfは,円筒構造物において高度化案の方がもんじゅの方法より低目の損傷値を示した。(ただし,弾性追従が大きい構造不連続部では高度化案が高目の損傷値となった。)2.累積クリープ損傷係数Dcも,高度化案の方が低目の損傷値を示す。(構造不連続部を持つ円筒構造STF-3で約0.7倍,構造不連続部を持たない円筒構造STF-10で約0.1倍)3.STF-3のき裂未発生部には,もんじゅの方法では制限損傷値を超えている部位が存在するが,高度化案では制限値内の評価であり,高度化案ではより正確なクリープ疲労損傷評価ができる。上記の結果から,高度化案はもんじゅの方法と比較してDf,Dc共により実験結果に近い損傷値を予測した。この損傷評価精度の向上により,設計成立範囲の拡大の見通しを得ることができた。
大坪 章; 関口 信忠
PNC TN9520 95-002, 66 Pages, 1995/02
本解析コードSTEDFAST(Space,TErrestrial and Deep sea FAST reactor・gas tubine system)は、深海、宇宙及び地上でのコジェネレーション用の動力源として用いるガスタービン発電方式高速炉システムにつき、システムパラメータの最適値を得るためのものである。本解析コードの特徴は次の通りである。・対象とする高速炉システムは深海炉、宇宙炉、及び地上炉である。・作動流体としては1次系でNak,Na,Pb,Hg,Liを2次系でHeとXeの混合ガス(混合比は任意)を扱うことができ適用範囲が広い。・システムに含まれる機器のモデル化については、将来の詳細化が容易なるように、また過渡解析コード作成が容易なように配慮されている。・プログラム言語はMAC-FORTRANで、パソコンにより容易に計算可能である。本解析コードの作成により、システムに含まれる密閉ブレイトンサイクルの状態値が直ちに計算可能となると共に、サイクル熱効率に係わる数多くのパラメータの影響の把握及び最適化計算が可能となった。今後各種機器のモデルをより詳細化するとともに、更に将来においては、本解析コードをベースとして、過渡解析コードを作成する予定である。
村松 壽晴; 一宮 正和
PNC TN9410 93-092, 93 Pages, 1993/04
大洗工学センター技術開発部プラント工学室では,電気事業者によるFBR実証炉の設計研究を適切に支援するため,大型FBR設計研究の一環として,電気出力60万kW級のプラントを対象に設計研究作業を実施してきている。この内,下部プレナム内の構造設計では,(1)有効混合容積の積極的な増加を図り,熱過渡条件を緩和させること,(2)流動挙動の最適化を図り,炉心構成要素内へのルースパーツの侵入を防止すること等が求められる。平成4年度下期作業では,冷却材流入角度をパラメータとした熱流動解析を多次元コードAQUAを用いて行い,以下の結果を得た。〔トーラス入口窓(下部-側部)における冷却材流入流量の分担特性〕(1)定格流量条件では,冷却材入口角度を22.5度とした場合にその分担が概ね等しくなる。(2)この特性は,手動トリップ事象を模擬した過渡解析条件においても概ね保存される。〔有効混合容積〕(1)手動トリップ事象を模擬した過渡解析結果より,下部プレナム内容積の約77-79%が冷却材混合に寄与することが明かとなった。〔ルースパーツ捕獲特性〕(1)ルースパーツを流体力により捕獲するための条件(W1.0m/s)は,今回解析を実施した冷却材流入角度をパラメータとした条件のみでは実現できない。
茶木 雅夫*; 文沢 元雄
可視化情報学会誌, 12(SUPPL.1), p.211 - 214, 1992/07
高温ガス炉の配管破断時空気浸入事故の安全性評価に際しては、密度の異なる多成分気体の流動特性を知ることは重要である。そこで、本研究では静止空気中に鉛直上向きに噴出するヘリウムガスの層流円形浮力噴流の過渡数値解析及びマッハツェンダ干渉計による流れの可視化実験を行い、浮力噴流の流動挙動を調べた。数値解析コードは、SIMPLEST-ANL法を用いた。数値解析の結果、噴出口下流の中心軸近くでの噴出気体の濃度は一旦極大値となった後に一定値に近づくことが分かった。また濃度場の可視画像から、噴出気体は鉛直方向に空気を押し退けながら上昇し、静止空気に衝突して水平方向に移動する様子が観察された。
大岩 章夫*; 原口 哲治*; 斉藤 利二*; 谷川 信吾*; 山口 勝久
PNC TN9410 88-107, 121 Pages, 1988/09
システムコードであるSSC-LをPLANDTL施設の設計から試験解析に用いる。そのため、SSC-LにPLANDTL解析用のモデルとして電磁ポンプモデル、PLANDTL用配管破断系モデル、上部プレナム補助系熱輸送モデル等を組み込み、各モデルの適応性の確認と設計仕様のチェックを目的とし予測解析を実施した。その結果、PLANDTLは主循環系を中心に、LOPI事象で想定されている0.25秒で定格の約25%まで急減する流量カーブを配管破断系により、その後ゆっくりとした流量変化を電磁ポンプの出力制御により模擬できる装置であることを確認した。また、詳細設計データに基づく予測解析から、想定されている逆流を含むLOPI模擬試験においても、装置の設計条件であるループ設計温度:625、試験体部設計最高温度:950を越えることはないことを確認するとともに、試験の予測解析により装置の特性および試験条件設定のために必要な電磁ポンプ、緊急遮断弁などの運転条件等を確認した。今後は、各種特性試験を通じて、モデルの改良、検証を行い、試験解析を実施してゆく。
山口 彰*; 長谷川 俊行*
PNC TN9410 88-055, 111 Pages, 1988/06
原子炉スクラムを伴う荷酷事故には、除熱失敗(PLOHS)と液位確保失敗(LORL)がある。これらの事故の進展は緩慢であるため、メンテナンス冷却系(MCS)を利用すれば炉心溶融を回避できる。本研究では、MCSによる除熱の成立性を検討し、もんじゅPRAに適用できる除熱の成功基準を求めた。そのためにMCSを起動する時のプラント応答解析を、除熱喪失場所、健全なループ数、除熱喪失時刻、MCS起動時刻をパメラータとして、SSC-Lによって実施した。解析の結果、1)崩壊熱除去系で除熱喪失する場合には、2ループ以上健全ならば炉停止直後からMCSによって崩壊熱除去が可能であること、2)2時間以上崩壊熱を除去していれば、その後に主冷却系から冷却材が全く供給されなくなったとしてもMCSのみによって除熱可能であること、3)オーバーフロー汲み上げ失敗によるLORLは、MCSによって炉心溶融を回避できること等が示された。MCS荷酷事故時に使用する場合の熱荷重による配管破損についても検討した結果、MCS配管の構造設計の安全裕度が十分にあるため、構造健全性は維持されることが示された。以上の解析結果に基づき、MCSの利用によりPLOHSとLORL時に炉心溶融を回避する成功基準と、MCSの活用を考慮した崩壊熱除去成功と原子炉容器液位確保成功のイベントツリーを提案した。
横林 正雄; 高橋 義信*
Anticipated and Abnormal Plant Transients in Light Water Reactor,Vol.2, p.727 - 738, 1984/00
計算機用プログラムBWRDYNはBWRプラントの過渡応答解析のために開発された。その特徴は(1)炉心に一次元モデルを用いることにより軸方向のボイド分布を考慮している。(2)原子炉内の全冷却水に対し2相流モデルが考慮されている。(3)主要な制御系が取扱われている。(4)数値計算においては各領域の流量の関係を代数方程式で表現し解析解を得る方式を用いている。コードの性能評価のために商業用BWR東海2号炉の出力上昇試験データを用いて比較検討を行った。その結果小幅から大幅な外乱に対して、解析結果は実測データとよく一致していた。またコードの計算速度は、代表的な過渡解析に対し実時間の約1/8と短いので、多ケースを要するプラント応答のケーススタディに有益である。